凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、治安の維持と公平性を重視した新しい法律が生まれた。それが『復讐法』だ。
復讐法は、犯罪者から受けた被害内容と同じことを合法的に刑罰として執行できるものだった。
《ジャッジメント》小林由香 本文より
犯罪が起こる度、もし犯罪者が、全く同じ目に合うことを想像できたなら、犯罪を起こすことはないのでは、と思うことがありました。
逆の立場であったら。。。？
復讐法には、犯罪者に同じ苦しみを、という思いとともに、被害者がどれだけ痛かったか、怖かったか、辛かったかを、分かってほしいとういう、強い気持ちがあると思う。
しかし、犯罪者がそれを分かるとも限らない。
犯罪者がそれを分かったところで、何かが解決するかといったらそうでもなく、復讐法を実行した遺族の悲しみは増すばかりだったりする。
短編５編は、それぞれ違った犯罪を取り上げている。復讐法を選択し、執行する上での、執行者の苦悩、葛藤、が描かれている。
読み終えて、結局誰も救われない悲しみが残って、気持ちが重くなる。
愛されることを知っている子、大切にされることを知っている子、優しくされることを知っている子は、他人に優しくし、他人を大切にし、他人を愛する。
